良い契約書の作り方(契約の基本・第6回)

良い契約書の作り方(契約の基本・第6回)

第1回はこちら

contract契約書はどういうときに作るべきか?(契約の基本・第1回)

はじめに
こんにちは、弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

今回からは、『契約の基本』と題して、「契約」というテーマに…

第2回はこちら

promise契約書は必ず作らなければいけないのか?(契約の基本・第2回)

前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

契約をテーマにした連載、『契約の基本』の第2回は、「契約書は必ず…

第3回はこちら

rainなぜ契約書はそれほどまでに重要なのか?(契約の基本・第3回)

第1回はこちら

第2回はこちら

前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

『契約の基本』第3回は…

第4回はこちら

契約書が存在することに潜む落とし穴(契約の基本・第4回)

第1回はこちら

第2回はこちら

第3回はこちら

 前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

第5回はこちら

前回のおさらい

弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

『契約の基本』最終回の第6回は「良い契約書の作り方」です。

前回の第5回では、

  • 「取引の目的を達成するために自分のすべきことや相手にしてほしいことが具体的にイメージできている」ということが、良い契約書を作るうえで最も根源的な条件であること。
  • 書面として重要な条件は、表現が一義的であること。

などを解説しました。

今回は、それを踏まえて、実際に契約書を作るにあたりどのようなことに注意したらいいのか、

良い契約書の作り方を解説いたします。

それでは見ていきましょう。

契約のプロセス

交渉→お互いの意思の合致→書面の作成

契約相手の候補が見つかってから契約書を作るまで、大まかですが上のようなプロセスをたどることになります。

このプロセスの中で最も重要なのはどこでしょうか?

新井弁護士も指摘しているように、必ずしも書面の作成は契約成立の必須要件ではありません。

言うまでもなく、契約のプロセスで重要なのは、

交渉し、互いの意思を合致させるプロセスです(以下ではこのプロセス全体を指して「交渉」といいます。)。

交渉において大事なこと

では、交渉においてみなさんはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。

挙げだすとキリがありませんので、今回は一つだけご紹介しておきたいと思います。

それは、「認知・解釈の個人差に敏感になりましょう」ということです。

交渉のプロセスにおいては、

①自分の要求を、②相手に伝える。③相手の言葉から、④相手の要求を読み取る。

という作業が繰り返されることになります。

このうち、実際に目に見えたり聞こえたりするのは、②・③の自分や相手の言葉です。

それらを手掛かりに自分と相手の要求をすり合わせることがズバリ交渉なわけですが、

油断しているとすれ違いが起きてしまうことがあります。

例えば、「予算は30万円」といったとき、

  • 初期費用として考えているのが30万円なのか
  • 保守管理なども含めてトータルの費用が30万円なのか

は、必ずしも明らかではありません。

自分は「初期費用」だと思い込み、相手は「トータルの費用」だと思い込んだまま話が進んで行ってしまうと、後々トラブルに発展する可能性が高そうだというのは、みなさんも感じるのではないでしょうか。

「予算は30万円」という同じ表現を使っても、それをどう認知・解釈するかは個人差があります。

「代金をいくらにするか」といった条件面での交渉もとても大事です。

しかし、トラブル回避という契約書の役割から考えてみると、こういった認識の食い違いをなくすということこそ本当に重要な視点です。

focus

次に、書面化のプロセスにおいて大事なことを再確認しておきましょう。

書面にする

冒頭のおさらいでも書きましたが、「一義的であること」というのがやはり重要です。

交渉のプロセスでは食い違いのない正確な理解に達したのに、書面化する際に曖昧な表現を使ってしまっては、どれだけ丁寧な交渉をしてもその意味は半減してしまいます。

それから、契約の基本・第4回でも言及しましたが、日本語的・法律用語的に正確な表現を使うということも重要です。

その他、大事なこと

以上に書いたほかに大事なこととしては、

  • 強行法規に反しないこと
  • 公序良俗や信義則といった私法の一般原則に反しないこと

などが挙げられますが、このあたりはやはり専門家の力が必要になってくる場面が多いかと思います。

そこで最後に、契約書を作る際の専門家選びのヒントをご紹介しておきます。

専門家選びのヒント

まず、上に書いた強行法規などの知識や調査能力を備えていることは前提条件です。

そのうえで、次のような視点をもって選んでみるといいのではないかと思います。それは、

自分のビジネスの流れを追体験してくれ、自分でも気づかなかったリスクの存在などを指摘してくれるかどうかという視点です。

まとめ

・交渉では「認知・解釈の個人差」に十分気を付ける。

・専門家選びのポイントは、「自分でも気づかなかったリスクを指摘してくれるかどうか」。

『契約の基本』、お読みいただきありがとうございました。