良い契約書の条件(契約の基本・第5回)

良い契約書の条件(契約の基本・第5回)

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contract契約書はどういうときに作るべきか?(契約の基本・第1回)

はじめに
こんにちは、弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

今回からは、『契約の基本』と題して、「契約」というテーマに…

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promise契約書は必ず作らなければいけないのか?(契約の基本・第2回)

前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

契約をテーマにした連載、『契約の基本』の第2回は、「契約書は必ず…

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rainなぜ契約書はそれほどまでに重要なのか?(契約の基本・第3回)

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前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

『契約の基本』第3回は…

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契約書が存在することに潜む落とし穴(契約の基本・第4回)

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 前回のおさらい
弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

 前回のおさらい

弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

『契約の基本』第5回は「良い契約書の条件」です。

前回の第4回では、

  • 契約書が存在することに潜む落とし穴とは、「契約書の記載」と「実際の合意内容」が一致しないことがあること。
  • 概念の定義が不十分だったり、語法・法的知識が不正確だと、契約書を作った意味が激減する。

ことなどを解説しました。

今回は、それを踏まえて、良い契約書の条件を解説いたします。

それでは見ていきましょう。

「良い契約」の条件

フリーランスやパラレルワーカーとして活動していこうという皆さんにとって、

良い契約を締結するための最も根源的な条件は、

”自分の仕事のことがよくわかっていること”です。

どういうことでしょうか?

この連載でよく登場する「webページのデザインをする契約」を例に考えてみましょう。

良くない契約書

例えば皆さんがある人から「webページをデザインしてください」と依頼されたとして、

いきなり次のような契約書を作ってしまったらどうでしょうか?

(第1条)
甲は、乙のために、乙が経営するトレーニングジムのwebページデザインを行う。

(第2条)
乙は甲に対し、代金として30万円を支払う。

この契約書を見て、

  • どんなwebページをつくるの?
  • いつまでに作るの?
  • 代金は一括で払うの?
  • もしデータが破損・消失したりしたら誰が責任を取るの?…etc

といった疑問が浮かんでくるのではないかと思います。

「webページをデザインしてください」と頼まれて、「ハイわかりました!」と契約書を作り始めるのは、

「車が欲しいんです」と言われて、車種や色も聞かずに車の売買契約書を持ってくる営業マンと同じです。

程度の差はありますが、「契約書を見てください」と依頼されて見てみると、この営業マンのような状態に陥ってしまっている方はいらっしゃいます。

「契約書を作る」という形を整えることが先走りしてしまっているのです。

まずは落ち着いて、自分の仕事と向き合いましょう。

”自分の仕事のことがよくわかっている”というのは、

取引の目的を達成するために自分のすべきことや相手にしてほしいことが具体的にイメージできている

ということです。

fishing

契約書の役割

第1回でもお話しましたが、

契約書は、紛争解決の際の裁判所の判断基準を提供するという大きな役割を担っています。

「こういうことが起きたときにはこう対応する」というように、

起き得ることを事前に予測して対応策を予め合意しておくという契約書の役割は、

まさにみなさんが抱く契約書の役割のイメージなのではないかと思います。

その際重要なのは、

どんな出来事がどんな確率で起きるのか、

それが起きた場合にどんな影響が出るのかという、

リスクマネジメント的視点です。

「良い契約」の条件(再)

このように考えてくると、

”自分の仕事のことがよくわかっていること”という条件から一歩進んだ良い契約(書)の条件としては、

  1. あらゆる「起き得ること」が網羅されていること。
  2. 正確な法的知識に基づく分析が行われていること。
  3. ダブりや矛盾がないこと。
  4. 当事者間のバランスがとれていること。

といったようなものが挙げられます。

中でも、1の条件が最も重要であり最も難しいものです。

良い契約「書」の条件

さて、最後に良い契約「書」の条件です。

これはシンプルに、

合意した内容が一義的に表現されていること、です。

単語の選択、語法、地域差、カタカナ語に対する配慮など、日本語力の有無が大きく影響するところです。

まとめ

・「取引の目的を達成するために自分のすべきことや相手にしてほしいことが具体的にイメージできている」ということが、良い契約書を作るうえで最も根源的な条件である。

・書面として重要な条件は、表現が一義的であること。

次回(第6回・最終回)は、「良い契約書の作り方」を予定しています。