「契約書がないと契約は成立しない」は誤解です!

「契約書がないと契約は成立しない」は誤解です!

こんにちは、弁護士/プロコーチ/セミナー主催者のパラレルワーカー新井玲央奈です!

契約書に関する誤解。

今回は、「契約書について、本当によくある誤解」をご紹介します。

それは、「契約書がないと、契約は成立しない」という誤解です。

結論を言うと、契約書がなくても、契約は成立します!これが法律のルールです。

僕は弁護士10年目になりますが、この誤解をされている方にはよく出会います。実際に受ける相談は、次のような感じです。

・契約書が無いんだから、相手の要求に応じなくて良いのでは?

・契約書を作っていないので、代金を請求できないんでしょうか?

・こういう話だったんですが、契約書がないと対応してもらえないんでしょうか?

残念ながら、いずれも「契約書がないと、契約は成立しない」と誤解されています。

契約書がなくても、契約は成立する!

じゃあどういう時に契約が成立するかというと、基本的には「意思が合致した時」です(あ、法律の世界では、「意志」ではなく「意思」と書きます)。

  • 売って下さい→はい、売ります。
  • 貸してください→はい、貸します。
  • 作って下さい→はい、作ります。

これで契約は成立します。シンプルです。さらに、お互い「そういうことだよな」と分かる状況なら、言葉にしなくても契約は成立します。

例えば、コンビニでジュースを買うとします。

  • あなた:レジにジュースを差し出す。←これが、「売って下さい」という意思表示!言葉にしてないけど、明らかに「そういうこと」だと解釈できます。普通に考えて、「これ、タダで下さい」でもないし、「店員さんに差し上げます」でもありません。
  • 店員さん:バーコードを読み取り、「100円になります」と告げる。←「はい、売ります」という意思表示。
  • あなた:100円を支払い、商品を受け取る。お店を出て、蓋を開けて、飲む。

これは、立派な売買契約です。契約書、作ってないですよね?でも、売買「契約」は間違いなく成立しています。

ですから、あなたが翌日コンビニに行って、「昨日払った100円返して下さい。契約書がないので契約は成立していませんよ」なんて言えません。反対にコンビニも、「あなたに渡したジュース、返して下さい」とも言えません。

もう一つ行きましょう。

  • 友人:「銀行でお金下ろすの忘れた!来週返すから、1000円貸してくれない?」←「貸してください」という意思表示。
  • あなた:「しょうがないな〜ちゃんと返してよね〜」と言って1000円を渡す。←「はい、貸します」という意思表示。

これは、立派な金銭消費貸借契約という契約です。契約書、作ってないですよね?でも、金銭消費貸借「契約」は成立しています。

ですから、あなたは友人に対して、「こないだ貸した1000円返して」と言えます。友人は、「契約書が無いんだから返さなくて良い」とは言えません。

確かに、銀行から借りる時等は契約書を作ります。でも、契約書を作らなかったら返してもらえない/返さなくて良いなんてことにはならないんです。

じゃあ、何で契約書を作るの?

理由は色々ありますが、一つ大きなのは、「こういう約束したでしょ」という証拠を残すためです。

先程の1000円貸した事例を思い出して下さい。

あなたが翌週「1000円返してよ」と言ったとき、友人から「え?なんのこと?」と言われたら、「返すって約束したよね」ってことを証明する証拠がありませんよね。あるいは友人から、「いやいや、あれはおごってくれたんでしょ?」と言われたら、「貸した」ってことを証明する証拠がありませんよね。

そこで契約書を作っておくと、「ほら、来週1000円返しますって書いてあるし、キミのサインがあるよ」と証明できるわけです。

この例は1000円なので契約書を作るのは現実的ではないし、もし返ってこなくても大きな損害にはなりません。

でもこれが100万、200万の世界になると、シビアな話になります。現実には、100万単位のお金を、契約書も無しに貸してしまうことがあるんです。それで相手が返してくれなくて、いざ弁護士に相談した時に「貸した証拠がない」ということになって困るわけです。

パラレルワーカー・フリーランスの方が、仕事として依頼を受けたり・仕事を頼んだりする場合には、後々トラブルにならないためにも、あるいはトラブルになった際の証拠にするためにも、きちんと契約書を作っておくことをオススメします。

これは、相手に対して「こういう約束したでしょ」と求める場合にも有効ですし、相手から何か要求された時に、「いやいや、そういう約束はしていません」と反論する場合にも有効です。

まとめ

「契約書がないと契約は成立しない」という、よくある誤解についてお話しました。実際には、契約書がなくても契約は成立します!日常の買い物レベルであれば、まず契約書を作る必要はありませんし、現実的ではありません。しかし、仕事を引き受けたり、頼んだりする場合には、後で「こういう約束したでしょ」という証拠にするために、出来る限り契約書を作るようにして下さい。

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