副業禁止の会社で副業が見つかったら解雇される!?

副業禁止の会社で副業が見つかったら解雇される!?

こんにちは。弁護士の芳賀由紀子です!!

前回のブログでは、「会社に勤めながら、本業とは別に副業をやることは、果たして法律上許されるか?」について、

  • 民間企業においては、副業を規制する法律はなく、公務員のように法律によって副業は禁止されてはいない
  • しかし、会社によっては就業規則等で副業を禁止していることがあり、
  • その場合には懲戒事由となって最悪の場合には解雇されてしまうことがありえる

というお話をしました。

では、もし副業NGの会社で副業をしてしまったら?

そして、会社に副業がみつかってしまったら?

一体、どうなってしまうのでしょうか?

そこで今回は、「もし、副業NGの会社で副業が見つかってしまったら?」について、お話ししたいと思います。

就業規則に副業禁止規定がある場合、副業をしていることがみつかれば、どんな場合でも解雇されてしまうのか?

就業規則に副業禁止規定がある場合、副業をしていることがみつかれば、どんな場合でも解雇されてしまうのでしょうか?

パラレルワーカーにとって、副業にあたるライフワーク(本当にやりたい仕事)をすることによって、本業であるライスワーク(生活を支える本業)を失ってしまうことになれば、大変なことになります。

就業規則に副業禁止規定が設けられ、その懲罰が懲戒解雇と明記されている場合、副業をしていることが会社にみつかってしまえば、会社を即クビになってしまうのでしょうか?

そんなことになってしまえば、本当に困ってしまいますよね。

では、裁判所の基本的な考え方をみていきましょう。

就業規則における副業禁止規定の合理性

副業禁止規定を考える際には、【小川建設事件(昭和57.11.19東京地裁判決)】が非常に参考になります。

この事案は、労働者が勤務時間外である午後6時から午前0時までキャバレーのリスト係及び会計係として無断で勤務し、このことを知った会社が就業規則の副業禁止規定に基づいて解雇処分としたことが許されるかどうかが問題となりました。

①勤務時間外は、本来は労働者の自由な時間

裁判所は、就業規則における副業禁止規定の合理性を判断するにあたって、まず、このように言っています。

『労働者は労働契約を通じて一日のうち一定の限られた時間のみ、 労務に服するのを原則とし、 就業時間外は本来労働者の自由な時間であることからして、就業規則で兼業を全面的に禁止することは特別な場合を除き、合理性を欠く』

つまり、「勤務時間外は、本来は労働者の自由な時間なので、これについて会社があれこれ言うことはできませんよ!!就業規則で副業を全面的に禁止することは許されませんよ!!特別の場合を除いては!!」と言っているのです。

ですから、就業規則で副業を全面的に禁止することはできず、禁止するには合理的な理由が必要であるということになります。

ではどのような場合に、会社は労働者の副業を禁止することが許されるのでしょうか?

②労務提供に支障が生じたり、会社の対外的信用や体面を傷つける副業は許されない

続けて、裁判所は、このようにも言っています。

『しかしながら、労働者がその自由なる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労働提供のための基礎的条件をなすものであるから、使用者としても労働者の自由な時間の利用について関心を持たざるをえず、また、兼業の内容によっては企業の経営秩序を害し、または企業の対外的信用、体面が傷つけられる場合もありうるので、従業員の兼業の許否について、労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮したうえでの会社の承諾にかからしめる旨の規定を就業規則に定めることは不当とはいいがたく、したがつて、同趣旨の債務者就業規則第三一条四項の規定は合理性を有するものである。』

つまり、労働者の副業の程度や態様によっては、会社に対する労務提供に支障が生じたり、会社の対外的信用や体面を傷つける場合がありうるので、そのような場合に、労働者の副業について会社の承諾を必要とする就業規則の規定を設けることは許されるとしているのです。

具体的には、長時間にわたる労働(とくに肉体労働)や深夜に及ぶ労働に従事する場合には、疲労の蓄積が本来の業務の遂行の支障になると判断されるでしょうし、競合他社での副業などの場合は、企業の利益を損ねるとして、副業が認められない方向になりそうです。

職業専念義務に反するような副業は許されない

では、裁判例を踏まえて、一体どんな場合に懲戒処分の対象となるのでしょうか?

まず、労働者には、信義則に基づき『職務専念義務』があるとされています。

『職務専念義務』とは、その名のとおり、勤務時間中は自分の職務に専念する義務です。

会社から労務の対価としての給料を受け取っている以上、労働者は、勤務時間中は自分の職務に専念しなければなりません。

まあ、当たり前と言えば当たり前の義務です。

よって、『職務専念義務』に反するような、自分の職務がおろそかになるような副業は許されません。

例えば、勤務時間中にこっそり職場のパソコンを使って、副業の仕事をするなど、勤務時間を使って副業をするようなことは、絶対にダメです。

また、副業のせいで、疲れがたまったり寝不足になったりして、本業に集中できなくなるようであれば、このような副業も許されません。長時間労働や過度な肉体労働、深夜に及ぶ労働はこれにあたるでしょう。

会社から、お給料をもらっている以上、勤務時間中は本業に集中しなければならず、本業がおろそかになるような副業は、NGなのです。

会社の秩序に影響を与えるような業種または競業他社で働くことは許されない

また、副業の内容が会社のイメージダウンにつながる場合なども、会社の秩序維持に影響を与え、会社の業務に支障を生じさせる可能性があるため、許されません。

また、競業他社で働く場合も、会社の利益と相反してしまう可能性があり、副業を正当化することが難しいでしょう。

常に解雇が許されるわけではない!

このような場合には、確かに就業規則違反ということで懲戒処分の対象にはなりえます。

ただ、処分の内容として「解雇」が定められているからといって、常に解雇できるわけではありません。なぜなら解雇は、労働者の生活の糧を奪うとても重い処分だからです。

ところが実際には、会社が解雇を選択してトラブルになる事例も少なくありません。

次回は、もし副業が見つかって解雇を宣告されてしまったときの対処法についてお話したいと思います。

まとめ

  • 労働者は、労働契約によって定められた労働時間にのみ労務に服するのが原則であり、勤務時間外は本来労働者の自由な時間であることから、就業規則で副業を全面的に禁止することは、特別な場合を除き、許されない
  • 労働者の副業は、その程度や態様によっては、会社に対する労務提供に支障が生じることや、会社の対外的信用や体面を傷つける場合がありうるので、労働者の兼業について会社の承諾を必要とする就業規則の規定を設けることは不当ではない
  • 就業規則に副業禁止規定があるからいって、ただちに副業をしたことが懲戒処分の対象となるわけではない。職務専念義務に反するような場合や、会社の秩序に影響を与えるような業種または競業他社で働くなどした場合に懲戒処分の対象となる