自分次第で好きなことを仕事にできる時代(パラレルワーカー&フリーランスのこれから③)

自分次第で好きなことを仕事にできる時代(パラレルワーカー&フリーランスのこれから③)

前回までのおさらい

弁護士の矢内良典(やないりょうすけ)です。

前々回の記事では、約76%の人が「稼げるなら副業をしてみたい」と思っていることなどを紹介しました。

他方、前回の記事で企業側に焦点を当ててみたところ、77.2%の企業が副業を禁止しているというのが現状であり、ワーカー側の思いと企業側の実情にはかなりのギャップがあることがわかりました。

今回は、このような状況に対して政府はどう対処していくのか、そしてみなさんはどう行動していったらいいのかを解説したいと思います。

今回の参考資料は、働き方改革実現会議がまとめた『働き方改革実行計画(以下では単に「実行計画」といいます。)』(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/honbun_h290328.pdf)です。

それでは見ていきましょう。

柔軟な働き方がしやすい環境整備

実行計画の中に、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目が掲げられています。

その中では次のように述べられています。

副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。

他方、これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒である。労働時間管理をどうしていくかも整理する必要がある。

企業側が副業を禁止する理由第一位も「長時間労働・過重労働」でした。

同じように、政府も労働時間の長時間化という点を副業の問題点として挙げています。

では、この問題に対する対処についてはどうでしょうか。

実行計画の中では、次の3点が「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の具体的内容としてして掲げられています。

①雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援

②非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援

③副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則の策定

今回の記事では、このうち②の非雇用型テレワークと③のうちの改訂版モデル就業規則の策定にフォーカスしてみたいと思います。

②非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援

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まず、「非雇用型テレワーク」とは、事業者と雇用契約を結ばずに仕事を請け負い、自宅等で働くテレワークをいいます(実行計画)。

これは、われわれの考える”ライフワーク”の手段として大きな可能性を秘めた働き方だといえます。

他方で、問題点として次のようなことが指摘されています。

こうした非雇用型テレワークの働き手は、仕事内容の一方的な変更やそれに伴う過重労働、不当に低い報酬やその支払い遅延、提案形式で仮納品した著作物の無断転用など、発注者や仲介業者との間で様々なトラブルに直面している。

非雇用型テレワーク行う人が増えれば、それに伴ってこうしたトラブルが増加することは目に見えています。

こうしたトラブルを未然に防ぎ、また、トラブルに巻き込まれてしまったときに適切に対処できるようにアドバイスをするのが、まさにわれわれ弁護士の”本業”です。

契約、知的財産、下請法・・・などなど、個々の具体的な内容については今後詳しく解説していく予定です。

③改訂版モデル就業規則の策定

モデル就業規則については、前回の記事でも言及しました。

実行計画の中では、モデル就業規則の改訂について以下のように述べられています。

これまでの裁判例や学説の議論を参考に、就業規則等において本業への労務提供や事業運営、会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化する

わかりやすく表現すれば、「本業をしっかりこなしていれば、企業はその人の副業を禁止できない」ということです。

しかし、政府が副業を原則容認するモデル就業規則を策定したところで、実際に皆さんが勤務している企業の就業規則の内容は変わるのでしょうか。

次はその点を考えてみたいと思います。

企業の就業規則は変わるのか?

統計データなどの根拠があるわけではないのですが、企業(特に中小企業)の多くは、厚生労働省のモデル就業規則を参考に自社の就業規則を作成しているのではないかと思われます。

それを前提にすると、モデル就業規則の改訂後に立ち上がる企業の就業規則の内容は、原則として副業を容認する内容になると推測されます。

他方で、既存の企業については、就業規則の変更に要するコストなどを考えると、新しいモデル就業規則の内容があまり浸透しない可能性もあります。

しかし、仮に今勤めている企業の就業規則の文言が変更されなかったとしても、その解釈を争う余地は広がると思われます。

自分次第で好きなことを仕事にできる

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今後、社会の流れが「本業をしっかりこなしていれば自由に副業ができる」という方向にシフトしていくとすると、パラレルワーカー・フリーランスとしての活動がうまくいくかどうかは、自分の時間・業務管理能力次第ということになります。

技術や知識を身につけることはとても大事ですが、それだけを追い求めると本業か副業のどちらかにひずみが生じる可能性が高いです。

本業も副業も、それぞれの仕事をどう管理していくかというメタな視点を持てるかどうかが、パラレルワークの成功の一つの鍵となるでしょう。

まとめ

・国を挙げて副業を支援する方向に社会はシフトしつつある。

・メタな視点からの自己管理能力が重要。